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日本の柑橘をサポート!【果樹研究所】

2016/01/08
産地情報

日本柑橘界の根幹を支える施設がなんと、静岡市清水区興津に!

『国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
果樹研究所 カンキツ研究領域』
にお邪魔しました。(※以後、果樹研究所と表記)


〈果樹研究所本館〉

研究所の前には、桜の木が一本植えられています。
ただの桜ではありません。1912年(明治45年)に、アメリカに寄贈され、
世界の桜の名所の一つとなっているワシントンD.C.のポトマック河畔などに植えられた
『ワシントンの桜』は、「果樹研究所」で育苗したものだったのです。

アメリカへの寄贈100周年を記念して、2012年5月興津にて
『桜里帰り植樹式』が執り行われ、その際寄贈されたポトマック河畔の
「桜の穂木」から作られた苗木の内の1本が果樹研究所に植樹されたのです。

施設内にはこの他に、1902年(明治35年)の開所当時に植えられた
『プラタナス(すずかけ)』の並木もあり、木々からも「果樹研究所」の歴史を垣間見ることができます。


〈『清見(きよみ)』の原木〉

「果樹研究所」で行われている研究内容のひとつに、
新しい柑橘品種の開発柑橘遺伝資源の収集・保存・評価があります。

1979年に品種登録された「清見」は、『宮川早生』『トロビタオレンジ』を交配し、
「果樹研究所」で誕生した品種です。
同地区にある『清見寺(せいけんじ)』に因み名付けられた「清見」。
現在、「清見」を交配親として『不知火(デコポン)』『はるみ』など、様々な品種が誕生しています。
「清見」の誕生は、柑橘研究に大きな影響を与えました。
 
〈広い施設内では様々な柑橘が栽培中!〉

『国際生物多様性センター』東アジア地区柑橘保存センターとしての
機能を担っている「果樹研究所」では、約1,300品種・系統の世界の柑橘類が栽培されています。

研究所裏手に広がる段々畑も、施設内に植えられている木々全てが、
研究のために栽培されている柑橘です。

ここで交配され名前のついていないものを含めると、何千種類という柑橘が「研究所」に存在しています。

突然変異が発見され持ち込まれたものや、「研究所」で交配した柑橘の、
品種の特性・栽培のしやすさ、実用に向いているかなどを調べます。

「清見」の他に、『興津早生』『はるみ』『はれひめ』『あすみ』など、
「果樹研究所」の研究から市場へ参入された品種がありますが、
こうして品種登録され定着するのはほんの一握りにすぎません。

〈「果樹研究所」で収穫された柑橘〉

新品種の開発や保存についてご紹介しましたが、他にどんな研究がされているのでしょうか。

果樹の優良品種及び優良台木の育成・栽培管理技術の開発・
果樹の病害及び害虫の発生生態の解明と防除技術・
バイオテクノロジー等による新育種素材の開発・果実の貯蔵性及び加工適性の解明・
人の健康に役立つ機能性成分の探索・解明に関する研究
など、
各専門分野のスペシャリストが常駐し研究を進めています。

各JAから栽培・病害虫・機能性・流通加工についてなど様々な相談を受け、サポートをしています。

代表して、機能性について研究をしていらっしゃる先生をご紹介します。

〈流通利用・機能性・栽培生理研究ユニットリーダー 上席研究員 薬学博士 杉浦実さん〉

『機能性表示食品』
としての『三ヶ日みかん』の出荷が、2015年11月からスタートしたことを以前お伝えしました。

食品の機能性表示を行うに当たり、臨床試験または観察研究で得た、
科学的根拠の考え方をまとめた研究論文を消費者庁に提出しなければなりません。

『β‐クリプトキサンチン』について調べてこられた、ご自身の研究成果などを用いて
「機能性表示食品」への申請をサポートしたのが杉浦先生です。

杉浦先生は、日本人の果物摂取量が、欧米先進国の1/2から1/3以下という実情を知り、何とかしたいと考えました。
欧米では生活習慣病の予防や健康維持増進のために年々果物の消費量は伸びているのに、
日本ではそのようなことが全く認識されていません。

果物は甘いからむしろ健康に良くないという誤解が多いことも問題と考えました。

そこで、果物はカロリーが高いから食べ過ぎは良くないという日本人の誤解を解き、
果物を食べることが健康に繋がるという意識を持ってもらうことで消費量を上げたいと考えました。

そこで「国産果物の代表であるみかんを日本人の健康に役立てて貰おう」という考えから、
『温州みかん』に特徴的に多く含まれる「β‐クリプトキサンチン」の研究を始めました。

それが、「機能性表示食品」届出の際に提出された論文の基になる疫学研究、『三ヶ日町研究』です。

2003年度から始まった「三ヶ日町研究」。
住民健診受診者の中で同意を得た1,073人を対象に10年間追跡調査をし、
骨密度を測定するなど杉浦先生が直接問診してデータを蓄積しました。

このデータから、糖尿病動脈硬化肝疾患骨密度メタボリックシンドロームについての調査が行われ、
「β‐クリプトキサンチン」は骨の健康に役立つこと、
「温州みかん」を食べれば食べる程、「β‐クリプトキサンチン」の血中濃度が高くなり
様々な生活習慣病リスクが低減することが
わかりました。

※「疫学研究」とは・・・地域社会や特定の人間集団を対象に、
病気の発生状況など健康に関わる要因を調査し明らかにする医学研究。

 
〈みかんを食べて健康に!〉

健康に役立つ「β‐クリプトキサンチン」!

●飲酒やメタボリックシンドロームが原因で起きる肝機能障害
●動脈硬化
●糖尿病
●メタボリックシンドローム(脂質代謝異常)
●骨粗しょう症

以上のリスクが低減することがわかってきました。
現在も追跡調査中とのこと。杉浦先生の研究からこれからも目が離せませんね!

研究室で目に飛び込んできたのは山盛りのみかん。
番号を振り、ひとつひとつデータをとっていくと聞き、研究は根気と情熱が必要なんだと切実に感じました。

〈これからも研究は続きます〉

静岡県の柑橘だけでなく、世界の柑橘をサポートする杉浦先生から、皆さんへメッセージをいただきました。

「静岡県のみかんは糖度が高く、β‐クリプトキサンチンを多く含んでいるので、
健康のためにたくさん召し上がってください。」

オレンジには、温州みかんの1/10程度しかβ‐クリプトキサンチンが含まれていません。
温州みかんの大きな魅力のひとつですね!

「青島みかん」『寿太郎みかん』のように、皮が厚く貯蔵向きの品種が多い静岡県。
年明けのこれから出荷のピークを迎えます。

「β‐クリプトキサンチン」は体の中で蓄積できるという長所がありますから、
温州みかんが出回る時期に、1日3個程度を目安に摂取すると健康効果が期待できます。

美味しくて健康にも良い「温州みかん」を、小腹が空いた時・仕事中などリフレッシュしたい時・
お菓子の代わりとしておやつタイムに積極的に取り入れてみてくださいね!

〈果樹研究所の一般公開〉

2016年2月7日(日)、『第19回 興津宿寒ざくらまつり』が開催。
当日、「果樹研究所」の一般公開が行われます。

圃場で収穫された様々な柑橘品種の展示・新品種の試食・
研究内容の発表・『静岡みかんパートナークラブ』による展示など盛り沢山の内容です。

年に一度の貴重な機会ですので、ぜひお越しください。
詳しくはコチラをクリック。




『国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 カンキツ研究領域』
所在地:静岡県清水区興津中町485-6
TEL:054-369-7100(代)
HP:https://www.naro.affrc.go.jp/fruit/introduction/okitu.html

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